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7月7日コンサート 【FILM SCORE PHILHARMONIC ORCHESTRA】 第五回定期演奏会:SF映画特集

2019年8月9日

【FILM SCORE PHILHARMONIC ORCHESTRA】 第五回定期演奏会:SF映画特集

6回目を迎えるフィルムスコアフィルハーモニックオーケストラによる、映画音楽コンサートが東京オペラシティで催されました。今回はバラエティに富んだSF映画特集。

SF映画特集コンサートシーン1

通常時のホール内は荘厳な雰囲気が漂っています

SF映画特集コンサートシーン2

楽曲により作品の世界観に合わせライトアップが変化

2001年宇宙の旅、スタートレック、エイリアン、バック・トゥ・ザ・フューチャー、ジュラシック・パーク、そしてもちろんスター・ウォーズ。人々を楽しませるSFのジャンルの一つに映画が挙げられます。人間の想像力の豊かさを、地球上のどの芸術よりも鮮明に表現している、と言っても過言ではないくらい映画の中の物理的科学描写は雄弁です。

しかし、それは画として表現出来るものが全てではありません。時にヒトは、人間とは何者なのか?という疑問に音で答えを探そうとします。

SF映画特集コンサートシーン3

今回も指揮は奥村伸樹さんでサントラの音を再現する頭脳のトップです

SF映画特集コンサートシーン4

メンバー変更あっても演奏クオリティが安定しているオケです

そもそもこのご時世、サイエンスフィクションとは何か?1960年代に少年少女が、また多くの科学者が空想、夢想した空想科学はそのほとんどがサイエンスファクトになりました。

未知の伝染病は減り、車は空を飛ぶようになり(一般ユーザ向け商品にはまだ時間かかりますが)近い将来、月まで数時間!というガジェットが現実になろうとしています。

SF映画特集コンサートシーン5

大盛況の開演前ロビーコンサートも恒例になってきました

SF映画特集コンサートシーン6

無料なのに凄いクオリティと絶対によそでは聴けない楽曲の数々

今クリエーターが作るべきSF、そしてそこに音を付ける作曲家、その曲を演奏するミュージシャンと聴く観客。全てが一体となり来るべき世界に希望を馳せ、また警鐘を鳴らす圧倒的な空間に今回のコンサートは変貌していました。一番の白眉は、前回ハンスジマー特集でシンセサイザーで音を出していたパイプオルガンがオペラシティにある、ということ。

飽くなき追求心で、作曲家のスコアを読み解き、サントラを聴き込み、作曲家の意図した音を鳴らすこと、少しでもサントラの音に近づけることを第一義的に活動してきたこのオーケストラにとってもある種到達点と言ってもいいかもしれません。

中盤最後の曲『インターステラー組曲』でその圧巻の生演奏が披露されました。真剣に聴こうとするお客様で場内は静まり返り、PAを通さない繊細かつ暴力的な音場に、私達は「人間の命の儚さ」、「過信してしまうテクノロジーの怖さ」、「時間の普遍性と刹那」を同時に感じざるを得ないのです。

一期一会のスコア、もう日本では聴くチャンスがないかもしれない楽曲の生演奏。実際に映画を観たことがなくてもその貴重な瞬間を目の当たりにするだけで、来た価値があったと思わせてくれました。

SF映画特集コンサートシーン7

圧巻、という雰囲気が少しでも伝わるでしょうか?

SF映画特集コンサートシーン8

今回のパイプオルガンが生で聴けたのはとても貴重です

ジョンウィリアムズやジェリーゴールドスミス、名だたる映画音楽の巨匠達の作曲する音楽には、映画の醸し出す雰囲気に合った、時に作曲家からの畏敬の念に満ちた愛情溢れる音を見つけることが出来ます。

ジュラシック・パークのテーマを例に挙げても、科学に裏打ちされたエンターテイメントとしての恐竜やパークの素晴らしさ、安易に絶滅した生命を生き返らせる傲慢さや恐竜の恐ろしさ等がその旋律を聴くだけでまざまざと脳裏に浮かびます。

SF映画特集コンサートシーン9

ロビー外には多くのお客様が開場を待ちわびていました

SF映画特集コンサートシーン10

アンコール時のライトセイバー風の弦も定着してきました

次回はスーパーヒーロー特集とのこと。SFが行き着く先はやはり人知では到達し得ない未知の世界ということになるのでしょうか。

SF映画、ファンタジー、アクションを彩るオーケストラ音楽を聴き込んでいくと、人間が生み出した「聴いていて気持ちの良い音への探究心の結晶」という単語が漠然と浮かんできます。

数百年かけてオーケストラが現在の形に進化し、その楽器を用いて言葉に出来ない思想や感情を表現する。未来を語るSF映画は必ずしも明るいお話ばかりではありませんでしたが、人間が映画を始めとする芸術への探求や渇望を止めなければ、今よりもそしてどんなSF映画よりも一歩でも前に進んだ世界が創造出来るのかもしれません。

Photo by T.Takaishi